上場美容室6社の決算比較
更新日:6 日前
「売上が伸びても、なぜ利益が残らないのか」
この疑問の答えは美容業界のトップ企業の利益構造を分析することで見えてきます。
これは、美容室事業を展開する上場企業6社の決算書を比較・分析したレポートです。
各社が公表しているIR資料をもとに、四半期決算(3か月間)の業績を一覧にまとめました。


公表データをもとに作成していますが、各社の決算期や集計期間の違いを調整して比較しているため、本記事では社名を伏せて掲載しています。
今回、特に見ていただきたいのが、
「セグメント売上」と「セグメント利益」
です。
6社を比較すると、大きな違いが見えてきます
T社・Y社・M社の美容室関連事業は赤字です。
この3社はいずれも、美容室運営や着付け・ヘアメイクなど、比較的オーソドックスな美容サービスを中心とした事業構造です。
一方、黒字となっているA社・Q社・L社を見ると、利益の作り方が異なります。



A社とL社では、美容室運営だけではなく、
フランチャイズのロイヤリティ収入や商品販売
などが利益に大きく寄与しています。
Q社は美容室事業そのものが中心ですが、1,000円台のカット料金と高い回転率を組み合わせた、一般的な美容室とは異なるビジネスモデルです。
つまり今回の6社を比較すると、
「美容室の施術売上を増やすこと」だけが、利益を増やす方法ではない
ことが見えてきます。
近年増えているシェアサロンも同様です。
美容師が施術して得る美容売上ではなく、席やスペースの利用料という別の収益構造を取り入れています。

なぜ美容室は売上の割に利益が残りにくいのか
理由の一つは、美容室というビジネスモデルそのものの利益率が高くないことです。
人件費、家賃、材料費、広告費など、売上の増加に伴って発生するコストが多く、売上がそのまま利益になるわけではありません。
当社が美容室の財務分析を行う中でも、営業利益率が10%を下回るケースは珍しくありません。
仮に営業利益率10%であれば、
売上が100万円増えても、残る利益は単純計算で約10万円です。
売上を100万円増やすことと、利益を100万円増やすことは全く違います。
さらに新規出店には、内装・設備・保証金・採用費など、大きな先行投資が必要です。
利益率が低ければ、投資した資金を回収するまでに数年を要することもあります。
だからこそ、店舗数や売上だけを追い続ける経営には限界があります。

店舗を増やした後に考えるべきこと
一定規模まで店舗数を増やし、スケールメリットを獲得した後は、
「美容室を経営する」ことを土台に、別の収益源を作る
という選択肢も重要になります。
例えば、
EC・店販売上、フランチャイズロイヤリティ、シェアサロン・賃料収入、人材・教育関連事業などです。
もちろん、従来型の美容室経営だけで利益を残すことが不可能というわけではありません。
ただし、その場合はより一層、
自社の利益構造を正確に把握すること
が重要になります。
広告費を増やした結果、いくら利益が増えたのか。
設備投資によって生産性はどれだけ上がったのか。
人件費率は適正なのか。
材料費を1%改善すると、年間でいくら利益が残るのか。
こうした数字を把握せず、
「売上が上がったから経営は順調」
と判断してしまうことが、美容室経営では大きなリスクになります。

売上ではなく、「利益が残る構造」を見る
今回の上場6社比較から見えてくるのは、
売上規模だけでは、その会社の経営状態は判断できない
ということです。
大切なのは、
何から売上が生まれ、どこにコストがかかり、最終的にどれだけ利益と現金が残っているのか。
まずは、自社の利益構造を正しく把握することから始まります。
hermit salon consultingでは、美容室の売上・費用・利益・キャッシュフローを分析し、経営判断に必要な数字を可視化しています。
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